子どもは大人が邪魔をしなければ育つ
子どもの「困った」を翻訳します
スクールカウンセラー 矢野恵津子のページ

子どもの「困った」場面に出会ったとき、子どもの言葉や行動を丁寧に観察していくと、彼らの内側に既に存在する「こうありたいという願い」や「自ら育つ力」に気づかされます。「困った」の奥に隠れている子どもの本音が理解できると、「あ~、この子はこんな風に感じているんだ」、「こんなこと思ってるんだ」と子どもの想いに気付くこともたくさんあります。自分の想いをジャッジなく受けとめてもらう経験を重ねていくと、子どもは本来の力を発揮し、自ら成長の変化をみせていきます。
それは私たち大人も同じです。大人も自分の本音を表現し、ジャッジなく受けとめてもらう。そんな大人と子どもがともに居ると、どちらが上とか下とかではく、ともに育ち、それぞれの心地よさを尊重し合う対等な関係で居られるようになります。大人と子どもはともに生活を創造するパートナーです。
大人も子どもも心地よく楽しく生活する。そのために、わたしは子どもの「困った」の奥にある本音を翻訳し、子どもと子ども自身、子どもと大人、(大人と大人自身)への橋渡しをしています。

私の役割
「かかわる」「気づく」そして「つなぐ」
私の役割は、子どもの内側に既に存在する「自ら育つ力」を引き出し、力づけること、そして、それが発揮されるよう環境を調整していくことです。子どもの問題や親の関わりを指摘することではありません。
子どもは一生懸命。大人も子どもも一生懸命。なのに、なんだか空回り。どんな親子も、自分とは異なる人間同士なので、完全に分かり合えないのは自然なこと。少しでも理解しあえることが増える(=歯車のかみ合う箇所が増える)と、今よりもう少し心地よさが増えるかも、大人と子どもの間に今より創造的な何かが生まれるかも…。そんな想いで歯車全体のメンテナンスを図っています。

〇子どもの「困った」の翻訳
子ども自身、何に困っているか分からなかったり、うまく言えないことがほとんど。子どもと関わりながら、言葉や行動を丁寧に観察し、言語化されていない子どもの本音を引き出し、子どものニーズや気持ちを確認し、今、その子に何が起こっているのか、今の育ちに何が必要なのかを紐解いていきます。「困った」だけでなく、子どもの「好き」「楽しい」も引き出し、それらをもとに、子どもの本来の力が発揮されやすい環境を探っていきます。
〇すでにある力を引き出す
本人も気づいていないが、すでに出来ていることや些細な成長の変化に焦点を当てていくと、自分がすでに持っている力に気づくことができます。その気づきは本人や周囲の大人の自信、希望につながります。既成の枠や常識には当てはまらない感性や感覚を大切にしています。時に大人や子どもと面白がりながら、「困った」を一緒にやり過ごすこともあります。
〇調整(バランス・橋渡し)
子どもと大人の意思のすり合わせを丁寧に行います。子どもの現状、ニーズや気持ちと、大人側のそれとをすり合わせ、双方が折り合える点を一緒に見つけていきます。また、今できることを検討し、環境調整を図ります。必要に応じて子どもたちが生き生きと安心できる場、それぞれが育つ場や人へとつないでいきます。
〇集団・組織にアプローチ
日々のスクールカウンセリングの中では、子どもたちが安心して生活できるよう、コンサルテーションや研修などを通して、その子の所属する組織にアプローチしていくことがあります。また、子どもや親御さん対象に、講演やワークショップを実施します。他者と時間や場、想いを共有することは、個別カウンセリングとはまた違った気づきを得られます。子ども対象に行った心理教育を参観くださった先生が子どもや自身に対して理解を深められることもあります。
コンセプト
<想い>
― 子どもに ―
・子どもは大人が邪魔をしなければ育つ
子どもは本来、自ら育つ力を持っています。本人の「楽しい」「ワクワク」がその原動力となり、それが十分満たされると、自ら成長の変化を見せてくれます。自らの意思で動いた経験、そこから感じた心の動き、それは些細なことであっても、その積み重ねが育ちの可能性を広げていくのです。
・「困った」は、今のその子の育ちに必要なこと
子ども自身、何に困っているのか気づいていないことも多くみられます。しかし、子どもの「困った」、大人の「困った」を紐解いていくと、今のその子の育ちに必要なメッセージに気づかされます。今の状態で、将来こうなるは決められないのです。
・本人が安心して幸せに生活できること
子どもが何かに挑戦できるのは安心して戻れる場所があるから。本人の安心が広がれば、本来の自ら育つ力を発揮できるようになっていきます。それは、自己を肯定しながら日々を過ごす土台になります。

木に例えると目の前に見える「困った」事象は枝葉の部分。枝葉は土壌の状態、季節、天候等により姿形を変えていきます。その子がありたい姿で在るために、その土台となる根や幹がしっかり育っていくには、今何が必要か。子どもの「困った」(表現?)にはそのメッセージがたくさん含まれています。
― 親・先生に ―
・子どもと大人は対等
子どもと大人はともに生活を創造するパートナーです。衣食住など大人からの助けはどうしても必要ですが、対等な人間です。お互いを尊重し合う関係は心地よい生活の基盤となります。大人のジャッジではなく、その子がどう感じているか理解しようとすることで、互いの理解が深まっていきます。
・1人だけで何とかしようとしなくてよい
子どもも大人もみんなの中で育ち合っています。それぞれの好きや得意を持ち寄って、支え合い、補い合う中で、豊かに育っていけます。そうすると、大人自身に余裕が生まれ、子どもとの関わりを楽しめ、面白がれるようになります。
<どのように>
― 子ども ―
・子どもの育ちを邪魔しない
子どもの「好き」「楽しい」に焦点を当て、ワクワク・楽しさを引き出します。それが十分満たせるよう本人を力づけたり、親や先生につないだりします。
やりたい・やりたくない、うまくいった・いかなかったもそのままを受け止めます。たとえ、やらなかった、うまくいかなかったとしても、「自分で決めたいろいろ」の先を経験し、感じることは、自分で考え、自分の人生を生きる糧となるからです。「そんな時もあるよね~」「そんな人もいるよねぇ~」と変化の可能性を示唆しながら、子どもの育つ力・回復力を信じてともに居ます。
助言を求められた場合、本人が今まで試したことやその結果から、本人がどう感じているかを確認していきます。既にできていることをフィードバックし、自身の育つ力をエンパワーメント、その上で別の方法も提示します。私の想いや意見は伝えますが、説得・強制はしません。あくまでも選ぶのは子ども自身なのです。
・子どもの「困った」を翻訳する
子どもの想いを丁寧にきき、ニーズや気持ちを引き出していきます。言葉だけでなく、表情やしぐさなども観察しながら、パズルのピースを合わせるようにその子を多面的に理解しようとしていきます。困っていても、何に困っているかよく分からない、うまく言えない子どもがほとんど。その場合、その子の生活を分解していき、「ここはOK」「ここはイヤだ」と一つ一つ確認し、自分で対処できそうなことと手助けが必要なこと、どのくらい手助けが必要かなどを整理します。その子の希望や想いに沿った方法を確認します。
― 親・先生 ―
大人の話も丁寧に聞きいた上で、子どもとのかかわりの中で気付いた、子どものニーズや気持ちを伝えます。大人自身が当たり前、たいしたことないとみなしている子どもの小さな成長や変化に焦点を当て、フィードバックすることで、子どもの成長をともに喜びます。親や支援者自身の力もエンパワーメントしていきます。
・子どもの生きづらい状況が少しでも緩和できるように
現状で出来ていること、出来そうなこと、他の人や場の力を借りたいことなどを一緒に整理していきます。必要なら、子どもたちが生き生きと安心できる場、それぞれが育つ場の情報を届けたり、担当者へつなげたりします。
<どうなれる?>
― 子ども ―
・育ちを邪魔されない
・生きづらい状況が少しでも緩和される
↓
・理解してくれる大人がいることを知り、安心して気持ちを表現できるようになります。
・理解してくれる人への信頼感が増し、自分や他者への信頼感も増していきます。
・自分が何か発信することで、状況が変わることを体感できます。
・自分の「好き」「楽しい」が十分に満たされることで、気持ちに余裕が生まれ、自ら挑戦するようになります。
・自分だけでなく、相手のことも理解し、折り合いをつけながら心地よく生活できるようになります。
・自分で意思決定できるようになります。
・すくすくと育ちます
― 親・先生 ―
・子どもの見方が広がる(多面的に理解できる)
・子どもの育ちを知れる
↓
・子ども自らの育つ力を信じ、子どもの育ちを邪魔しなくなります。
・子どもの行動や変化を楽しんだり面白がったりしながら見守れるようになります。
・大人も子どもも心地よく生活できるようになります。
・大人自身に余裕が生まれ、大人自身が生活を楽しめるようになります。
